離婚・再婚・認知等の子供の苗字の変更手続き

離婚・再婚・認知等の子供の苗字の変更手続き

世の中には、親の離婚や死別から、親と子の苗字(氏)が異なることになったり、生まれた後に認知があり父親と子供の苗字(氏)が異なっていて、親の苗字(氏)と子供の苗字(氏)を同じにしたいと考える方がいらっしゃいます。このような親と子の苗字(氏)が異なる場合に、子供の苗字(氏)を変更する手続きについて、検討していきます。

離婚・再婚・認知等の子供の苗字の変更手続き

日本の戸籍法によれば、子供は親の戸籍に入籍し、親と同じ苗字(氏)を称します。ただし、親の離婚、再婚、養子縁組や、子の認知などにより、子供の苗字(氏)と、親である父母の苗字(氏)が異なる場合が生じます。親の都合により、子供と親である父母の苗字(氏)が異なる場合に、不利益を受けるのは子供であることから、その救済のため、家庭裁判所の許可を得て、子供の苗字(氏)と、父または母の苗字(氏)を同一にする 変更手続きを申し立てることができます。この手続きが子の氏の変更許可申立てになります。

裁判所での氏名変更許可申立ては、子の氏の変更許可申立てのほかに、名の変更許可申立て、氏の変更許可申立てという手続きもあります。

なお、父母が婚姻中の場合に、子供が父母の苗字(氏)を称する場合は、裁判所の手続きなく、変更をすることができます。

子の苗字(氏)の変更許可申立ての手続既定

日本人の氏名については、戸籍にその規定がありますが、子の氏の変更許可については、民法の親族編である民法第791条に、 その根拠規定があります。

(子の氏の変更)
第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる

この民法の規定にあるように子の苗字(氏)の変更許可を求める場合は、家庭裁判所の許可を得なければなりません。

また、父母が婚姻中の場合に、子供が父母の苗字(氏)を称するときは、家庭裁判所の許可は不要であり、市区町村役場に届け出ることによって、子供の苗字(氏)を変更することも既定されています。

子の苗字(氏)の変更許可申立てを行うケース

子の苗字(氏)の変更申立ては、子供の苗字(氏)と、父または母の苗字(氏)が異なっている場合に、父または母の苗字(氏)を称するために行う申立手続きです。
通常は、次のような事例において、許可申立てがなされます。

・父母の離婚により、一方が婚姻前の苗字(氏)に戻したため、子供の苗字(氏)と異なることになった場合
・父母の婚姻取消しにより、一方が婚姻前の苗字(氏)に戻したため、子供の苗字(氏)と異なることになった場合
・父母の一方が死亡し、他方が婚姻前の苗字(氏)に戻したため、子供の苗字(氏)と異なることになった場合
・父母が離婚をし、さらに再婚をして、再婚配偶者の苗字(氏)を称することとしたため、子供の苗字(氏)と異なることになった場合
・子の妊娠後、父母が離婚をし、その後に出産をした場合
・子の出産後に、子が認知された場合
・父母が養子縁組をし、養親の苗字(氏)を称することとしたため、子供の苗字(氏)と異なることになった場合

また当然ながら、上記以外の事例で子供と父または母の苗字(氏)が異なる場合も、申立てにより家庭裁判所の許可を得て、子供の苗字(氏)を、父または母の苗字(氏)にすることができます。

子の苗字(氏)の変更許可申立ての判断基準

子の苗字(氏)の変更許可申立ては、父または母と子供の苗字(氏)が異なることになった経緯や、事情などを総合的に判断し、子供の福祉から判断して許可不許可が審判されます。このため、父または母と子供の苗字(氏)が異なっている場合であっても、裁判所の審理によっては、その申立てが却下される場合があります。

子の苗字(氏)の変更許可申立てをする裁判所

子の苗字(氏)の変更申立てをする裁判所は、子の住所地を管轄する家庭裁判所になります。複数人の子が、子の苗字(氏)の変更申立てをする場合は、その子らのうち一人の子のの住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをすることができます。

氏の変更許可申立ができる人

子の苗字(氏)の変更許可申立てができる人は、申立てをする子供自身になります。申立てをしようとする子が15歳以上であれば、自分で申立てができますが、子が15歳未満の場合は、法定代理人が申立てを行います。

申立てに必要な書類


子の苗字(氏)の変更許可申立ては、申立書、子及び父母の戸籍全部事項証明書、その他氏の変更を求める個別の事情を立証する書類を提出します。また、申立時には、収入印紙と管轄家庭裁判所規定の予納郵券を納める必要があります。

申立てから苗字(氏)の変更までの流れ

1.申立書を作成し、戸籍全部事項証明書その他個別の事情立証する書類を用意します
2.家庭裁判所に申立てを行います。
3.裁判所から書面での照会や裁判所での面談があります。
4.裁判所で許可不許可の審判がなされます。
5.許可の場合は審判書を持参して市役所で入籍の届出をします。
6.子の入籍が戸籍に反映され、子の苗字(氏)の変更が完了します。

裁判所からの書面での照会及び裁判所での面談について

家庭裁判所に申立書を提出してから、しばらく経つと郵便による通知や、電話での面談期日の調整の電話があります。管轄によっても異なりますが、数日から数週間以内に裁判所から何らかの連絡があります。

書面での 照会が届いた場合は、その文書に回答ををし、管轄家庭裁判所に提出をします。

裁判所での面談が求められた場合は、裁判所から事前に連絡があるので日時の調整をして、裁判所に出頭します。 そして裁判官に子の氏の変更の事由を説明します。また裁判所から持参するよう求められた書類などがあればその時に提出します。

裁判所での変更申立許可後の手続き

裁判所では書面での照会または面談により、申立人からの陳述を聴いた後、書面で審判内容が通知されます。氏の変更許可申立てが無事に許可となった場合は、家庭裁判所から届いた審判書謄本を持参して市区町村役場で子の入籍届を提出します。

改姓・改名手続きのご相談はこちら

改姓・改名の氏名変更に関するお悩みについて、司法書士が丁寧に対応します

改姓改名・氏名変更ドットコム
(運営 司法書士日暮里上野法務事務所)