虐待等の精神的苦痛を理由とする氏名の変更

虐待等の精神的苦痛を理由とする氏名の変更

虐待等の精神的苦痛を理由として氏名の変更許可を得て改名する

日々の生活の中で、名前の使用に関連して精神的な苦痛を感じることから、家庭裁判所に氏名を申し立てて、改名が認められる場合があります。

精神的苦痛を理由に家庭裁判所に対して氏の変更許可名の変更許可を申し立てて、申し立てが認められると、戸籍上の名前を変更して改名をすることができます。

精神的苦痛を理由として氏名の変更許可がなされた事例

精神的苦痛を理由として氏名の変更許可がなされた事例では、名前の使用が過去の虐待の加害者を想起させ、強い精神的苦痛を与えることを理由として氏名の変更許可がなされました。

このことから分かるとおり、家庭裁判所から精神的苦痛を理由として氏名の変更を求める場合には、名前の使用と精神的苦痛の関係性を述べていく必要があるといえます。

精神的苦痛を理由として氏名の変更許可を申し立てるには

精神的苦痛を理由として、家庭裁判所に対して、氏の変更許可や名の変更許可を申し立てるには、精神的苦痛により名前を使うことが困難であること説明する必要があります。

また、単に自分がその名前を使いたくないという理由だけではなく、客観的に見て、名前の変更が必要であると家庭裁判所が判断するような事情を説明する方がよいといえます。

ただし過去の判例においては、自分が使いたくないという主観的な理由であっても、事情を考慮して氏名の変更許可がなされたものがあります。

主観的事由ではあるけれども、(中略)精神的外傷の後遺症から脱却すを目的とするものであり、(中略)戸籍上の氏名の使用を申立人に強制することは、(中略)社会的にみても不当であると解するのが相当である。

上記判例によれば、名前の使用に苦痛を感じている場合に、名前を変える正当な理由があると裁判所が認定すれば、主観的な事由による名前の変更であっても許可される可能性があります。

精神的苦痛を理由とする氏名の変更許可で提出する書類

精神的苦痛が性同一性障害によるものや、奇妙な名前である、異性と誤解される名前であるなど、その精神的苦痛の原因がすぐにわかりにくい場合は、単に、その事情を説明する理由書以外に、精神的苦痛で悩み生活に支障が生じ、心療内科や精神科を受診している証明書などを提出すると、裁判所にその苦痛を伝えやすくなります。

精神的苦痛を理由として氏名の変更許可を申し立てる場合は、事情を説明する資料を提出するほうが、家庭裁判所としても社会生活において支障が生じていることを認定しやすく、有利に働く傾向があります。

ただし、精神的苦痛を原因とする場合であっても、診断書を提出せずに名前の変更が認められた事例もあることから、資料をそろえることが難しい場合でも、家庭裁判所に申し立てをすることは可能です。

また、精神的苦痛を理由とするだけでなく、その名前が読みにくかったり、通称名を使用しているなど、複数の理由を裁判所に説明して、現状の大変さを伝えていくことも良いといえます。

精神的苦痛を理由とする氏名の変更許可の審判後

精神的苦痛を理由として、家庭裁判所から変更許可が認められた場合は、審判書が交付されますので、市区町村役場にて戸籍の氏名を変更する届出を提出します。

市区町村役場で戸籍の氏名を変更する届出が受理されると、数日程度で、戸籍謄本に新しい名前が記載されて、改名手続きが完了となります。

精神的苦痛を理由とする氏名の変更許可の申立てのまとめ

精神的苦痛を理由として家庭裁判所に氏名の変更許可を申し立てをして、氏名の変更許可が認められた事例はあります。

ただし申し立てにおいては、家庭裁判所に対して、氏名を変更するほどのやむを得ない事情や、正当な事由を説明し、その必要性を伝えていく必要があります。

名前の使用に関して、その使用に悩んでいる方は、家庭裁判所に申し立てをして、変更を求めていくことを検討されてもよろしいかと思います。

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